初夏の風物詩、「ホオズキ市」としても親しまれているホオズキは、七夕の頃から出回り、さわやかな葉の緑色と赤色のコントラストが涼しげに夏の到来を知らせてくれます。
丸い果実が自然に赤らむのは8月に入ってからで、果実を包む袋状のガクが、緑から朱紅色に色付いていきます。
熟した果実の種を取り、口に含んで音を出す遊びは古く、平安時代の記述「栄花物語」に、「ほほづきなど吹きふくらめて」と記されています。「鬼灯」とも書くホオズキの名前の由来は、ホオズキ遊びの様子から(頬突き)、別説ではカメムシの一種の「ホオ」という虫が好きでよく付くから、とも、7月(文月)-ふうづきに花を咲かすことから、とも言われています。
また、日本ではお盆には欠かせない植物の一つでもあります。古くからホオズキの赤い実を提灯や霊魂に見立てたりしていたようです。
種類も豊富で、世界には80品種もあるといわれています。日本では、実が大きく早生の丹波ホオズキや、矮性種で秋から冬にかけて実が色づく三寸ホオズキなどがあります。
センナリホオズキは熱帯アフリカ原産の春まき一年草で、実は緑色のままですが、全体の姿が面白く、鉢物として人気です。名前のとおり(千生り)たくさんの実をつけます。
「ストロベリートマト」という名称で、甘酸っぱく食用にされるホオズキも出回っています。
科 名 : ナス科フィサリス属 |
日当たり・置き場所
日当たりと水はけが良く、やや湿り気の多い場所が適します。
日本各地で育てられますが、暖かで、半日以上が日に当たる、有機質に富む肥えた土地が良いでしょう。
株分け・植え替え
宿根草タイプは、3~4月に地下茎を株分けします。地下茎の先を3~4節の長さに切り、20cm間隔に植え、土を5cm位覆います。
地植えの場合は3年に一度、鉢植えは毎年株分けして植えます。
鉢植え
4~5月頃、5号鉢に5~10本の苗を植え付けます。
堆肥と腐葉土を混ぜた、肥えた土が適します。花の付く頃までは、月に一回液肥を与えます。
水やり
ホオズキは湿り気のある環境を好み、乾燥を嫌います。水切れをおこしやすい夏場は、土の表面が乾ききらないうちに水をたっぷり与えます。
その他の季節は土の表面が乾いたらたっぷり与えます。
病害虫
カブラヤガ、ホオズキカメムシの被害が多い6~8月は月に1回薬剤散布すると良いです。
実付きを良くするには
①日当たりの良い場所で育てること。
②3年に一度の植え替え。
③害虫の駆除をこまめにする。
楽しみ方いろいろ
「ドライフラワー」
9月頃、実の熟した枝を汚れ水につけます。ガクの肉が腐って網目状の繊維だけがのこり、中が透けて見えるドライフラワーが出来ます。
「切花として」
生け花はもちろん、夏のアレンジメントや花束にホオズキを入れると、季節感のある、涼やかな感じを楽しめます。